なぜ「糖」の話をリハビリで扱うのか ― 改善を止めているのは、訓練ではなく“生活管理”かもしれない

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石垣貴康|作業療法士/Totonoe代表
病院で良くなっていたのに、自宅に戻るとまた動きにくくなる──そんな“リハビリの壁”に直面する方を多く出会ってきました。原因は努力不足ではなく、生活環境・習慣・動作のクセ・生活リズムです。私は「機能は生活からつくられる」という視点で、寝たきり・片麻痺・脊髄損傷・神経難病など重度の方へ、生活24時間を整える訪問パーソナルリハビリを提供しています。
「もう良くならない」と感じても、まだ方法は残っている可能性があります。一緒に、“もう一度動ける人生”を取り戻しましょう。

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リハビリというと、多くの人は「運動」「訓練」「施術」を思い浮かべる。

しかしTotonoeが現場で向き合ってきた中で、改善を左右している本当の分かれ目は、訓練内容よりも「日常生活の管理」にあるケースが少なくない。

  • きちんと通っているのに変化が出にくい
  • その場では動けるが、生活に戻ると崩れる
  • 疲れやすく、回復が追いつかない
  • 痛みや不調を繰り返してしまう

こうした背景を丁寧に見ていくと、食事・間食・エネルギーの使い方、つまり「糖との付き合い方」に行き着くことがある。

一見、「糖」と「リハビリ」は関係なさそうに見える。だが実際には、回復・改善を支える“生活エネルギー管理”の根幹に関わっている。

この記事は、SNSで拡散されている「砂糖=毒」という強い主張をきっかけに、リハビリ・生活動作・管理・習慣という文脈で糖をどう捉え直すかを整理するためのものである。

SNSで拡散される「砂糖=毒」という主張

近年、SNS上では「砂糖は最強に近い毒である」といった強い表現の投稿が拡散され、多くの人の不安や関心を集めている。

この種の主張の背景には、糖化(glycation)やAGEs(終末糖化産物)といった、医学的にも知られた現象がある。

重要なのは、こうした主張が完全な虚偽ではない一方で、そのまま日常行動に落とし込むには情報が粗いという点だ。

糖化(glycation)とAGEsは本当に問題なのか【第三者的整理】

糖化(glycation)やAGEs(終末糖化産物)が健康リスクと関連することは、医学・栄養学の分野でも一定の合意がある。

  • AGEsの蓄積と動脈硬化の関連
  • 糖尿病合併症(神経障害・血管障害)との関係
  • 慢性炎症や組織の硬化への影響

これらは複数の疫学研究・基礎研究で示されている。

一方で重要なのは、AGEsは「糖を摂った瞬間に発生する毒」ではないという点だ。

  • 過剰摂取
  • 急激な血糖変動
  • 慢性的な代謝ストレス
  • 活動量不足・回復不足

こうした条件が重なったとき、結果として蓄積していくものでもある。つまり、問題は糖そのものよりも、「糖が処理されにくい生活構造」にある。

なぜリハビリでは「糖の影響」が表に出やすいのか

リハビリ対象者には、糖の影響が顕在化しやすい条件がそろっていることが多い。

  • 活動量が制限されている
  • 疲労回復が追いついていない
  • ストレスが高い
  • 生活リズムが乱れやすい
  • 間食や甘い飲み物で補給しがち

これは「意識が低い」のではなく、生活上、そうせざるを得ない状況であることも多い。

しかしその結果、

  • 血糖変動が大きくなる
  • 集中力が続かない
  • 疲労が抜けにくい
  • 身体が重く感じる

といった状態が起きやすくなり、結果として「リハビリ効果が出にくい」状態をつくってしまう。

糖×生活管理チェックリスト ― 改善を止めていないか、日常で確認したい視点

以下は、Totonoeが「改善が伸び悩むケース」で実際によく見かけるポイントを整理したチェックリストである。

【食事・間食の管理】

□ 空腹時間が長く、まとめ食いになりやすい

□ 甘い飲み物・間食でエネルギー補給をしている

□ 食事内容が日によって大きくばらつく

□ 「疲れたら甘いもの」が習慣化している

【生活リズム・活動量】

□ 日によって活動量の差が激しい

□ 動いた日ほど、甘いものが増える

□ 外出や訓練のあと、極端にだるくなる

【回復・コンディション】

□ 寝ても疲れが抜けにくい

□ 集中力が長く続かない

□ 身体が重く、動き出しが遅い

【リハビリとの関係】

□ その場では動けるが、生活で再現しにくい

□ 調子の波が大きい

□ 「今日はできた/今日はダメ」が極端

✔ これらが複数当てはまる場合、問題は「訓練量」ではなく「生活エネルギー管理の不安定さ」にある可能性が高い。

Totonoeが考える「糖との向き合い方」

Totonoeが重視しているのは、糖を避けるかどうか、何が良くて何が悪いか、という議論ではない。

  • 今の生活動作で、糖は処理できているか
  • 回復と活動のバランスは取れているか
  • 生活管理として成立しているか

糖は、生活が整っていれば「使えるエネルギー」になり、生活が崩れていれば「負担」として表面化する。

まとめ|改善を進めるために必要なのは「排除」ではなく「設計」

「砂糖は毒か?」この問いに対し、Totonoeはこう考える。

糖が問題になるのは、生活管理が追いついていないときである。

リハビリで本当に大切なのは、何を禁止するか、何を我慢するか、ではなく、

  • 生活動作
  • 活動量
  • 回復
  • 習慣
  • 管理

一つの構造として整えることだ。

糖の話題は、「食べてはいけないもの探し」ではなく、生活全体を見直すための入り口として使うべきである。

Totonoeはこれからも、訓練だけに頼らない、改善を支える生活設計を軸に発信していく。

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石垣貴康|作業療法士/Totonoe代表
病院で良くなっていたのに、自宅に戻るとまた動きにくくなる──そんな“リハビリの壁”に直面する方を多く出会ってきました。原因は努力不足ではなく、生活環境・習慣・動作のクセ・生活リズムです。私は「機能は生活からつくられる」という視点で、寝たきり・片麻痺・脊髄損傷・神経難病など重度の方へ、生活24時間を整える訪問パーソナルリハビリを提供しています。
「もう良くならない」と感じても、まだ方法は残っている可能性があります。一緒に、“もう一度動ける人生”を取り戻しましょう。

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