「体幹が大事」と言われても、
じゃあ片麻痺になると体幹はどう変わるのか?
ここが曖昧なままだと、リハビリの意味づけが弱くなります。
ここでは 脳卒中後の片麻痺者の体幹で起きている変化 を、
①神経
②筋活動
③感覚
④姿勢・動作
の4つに分けて解説します。
① 体幹は“麻痺していない”ようで、実は両側とも影響を受ける
まず重要な前提です。
片麻痺=「片側だけの問題」
と思われがちですが、体幹に関しては違います。
なぜか?
体幹を支配する神経は、
- 左右両側の大脳半球
- 両側性の神経支配
を受けています。
そのため脳卒中が起こると、
- 麻痺側:もちろん出力低下
- 非麻痺側(健側):代償的に過活動・協調性低下
という アンバランスな状態 が生じます。
👉 結果
「動くけど、安定しない体幹」 になります。
② 深層筋(インナーマッスル)が“遅れて働く”
片麻痺者の体幹で、臨床的に非常に重要なのがここです。
健康な人では、
手足を動かす前に無意識に体幹深層筋(腹横筋・多裂筋など)が先行収縮
します。
これは フィードフォワード制御 と呼ばれます。
ところが片麻痺者では…
- 体幹筋の収縮が
という現象が起きます。
👉 結果
という状態になります。
これは筋力不足というより、
「タイミングの問題」 です。
③ 体幹の“感覚”がズレている
ここが、本人にとって一番気づきにくいポイントです。
片麻痺者では、
といった 体幹の体性感覚障害 がよく見られます。
よくある臨床場面
- 本人「まっすぐ座ってます」
- 第三者「かなり傾いています」
このズレは、
感覚入力(特に深部感覚)の低下 によるものです。
👉 結果
④ 姿勢制御戦略が“単純化”している
本来、人の体幹制御はとても柔軟です。
- 足関節戦略
- 股関節戦略
- 体幹戦略
を状況に応じて使い分けています。
しかし片麻痺者では、
- 体幹戦略がうまく使えない
- 非麻痺側への体重移動のみで対応
- 固める・踏ん張る戦略が優位
になりやすい。
👉 結果
専門職の第三者視点で言うと…
国際的なリハビリの枠組みである
World Health Organization のICFでは、
- 身体機能
- 活動
- 参加
は相互に影響するとされています。
体幹機能の低下は、
すべてに波及します。
体幹は「機能」ではなく「生活の基盤」
という評価が、第三者的にも妥当なのです。
まとめ|片麻痺者の体幹は「弱い」のではなく「再学習が必要」
専門的に整理すると、片麻痺者の体幹は
❌ 単なる筋力低下ではなく
⭕ 神経・感覚・タイミング・左右協調の問題
です。
だからこそ、
体幹を“鍛える”だけでは足りない!体幹を“感じて・使って・生活につなぐ”視点が必要
になります。
この理解があるかどうかで、
リハビリの質も、改善の道筋も大きく変わります。


