脳梗塞や脳出血など、脳卒中後遺症による片麻痺。
この領域で長く臨床に関わっていると、SNSや書籍で語られる「治る・治らない論」に、どうしても違和感を覚えることがあります。
最近、医師である 内海聡 先生の投稿が話題になりました。
内容を要約すると、
という、かなり強いメッセージです。
この主張を読んで、
「なるほど」と感じる部分と、
「それを脳卒中片麻痺に当てはめていいのか?」
と感じる部分が、正直どちらもありました。
この記事では、
脳卒中後遺症による片麻痺の人と日々向き合ってきた作業療法士・石垣の視点から、
内海先生の主張をどう受け止め、どう整理するかを言語化します。
内海聡先生の主張の「本質」はどこにあるのか
まず大切なのは、
内海先生の言葉をそのまま表面で受け取らないことだと思いました。
先生が繰り返し指摘しているのは、
治療法そのものではなく、
といった「姿勢・スタンス」の問題です。
慢性疾患や生活習慣病の領域では、
この指摘が刺さるケースが多いのも事実でしょう。
では、
脳卒中後遺症による片麻痺ではどうなのか。
脳卒中後遺症の片麻痺は「思想」では治らない
ここは、臨床家としてはっきり伝えたいところです。
脳卒中による片麻痺は、
という、医学的・神経学的制約を強く受けます。
つまり、
どれだけ前向きでも
どれだけ学んでも
どれだけ努力しても
完全に元通りにならない人はいます。
これは
「努力していないから」
「学びが足りないから」
ではありません。
死んでしまった細胞は元に戻らない
これは科学的事実です。
この点で、
「治らない人=努力していない」
という構図を、片麻痺にそのまま当てはめることには、
大きな危うさを感じます。
そして、脳には可塑性があります。
それでも内海先生の言葉が「活きる瞬間」もある
ただし、
「だから全部間違っている」と切り捨てたいわけではありません。
片麻痺のリハビリ現場でも、
確かにこんな差はあります。
① 受け身の人と、主体的な人の差
という人と、
人では、
回復の質・生活適応力に差が出やすいのは事実です。
これは精神論ではなく、
運動学習・神経可塑性の観点からも説明できます。
② 「病名=自分」になったとき、回復は止まりやすい
臨床でよく聞く言葉があります。
この思考が固定化すると、
という悪循環に入りやすくなります。
この意味では、
内海先生の言う
「病名を印籠のように使う人は治らない」
という表現は、一部重なる側面があると感じています。
石垣的な結論:問題は「依存」か「医療」か、ではない
私が臨床を通してたどり着いた結論は、とてもシンプルです。
脳卒中後遺症による片麻痺は
医療を否定してもダメ
依存に傾いてもダメ
必要なのは、
このバランス設計です。
「治す責任」を一人に押し付けないことが、回復を支える
片麻痺の人にとって一番つらいのは、
です。
改善とは、
このどれもが含まれるプロセスだと、私は考えています。
まとめ|内海聡先生の言葉をどう受け取るか
- 内海聡先生の主張は
👉 「姿勢論」としては示唆がある - しかし
👉 脳卒中後遺症・片麻痺の回復論としては適用できない - 片麻痺は
👉 医療 × リハビリ × 主体性 × 生活設計
👉 その人の人生全体を見て初めて語れるもの
もしあなたが、
「頑張っているのに回復しない」
「自分の努力が足りないのではと責めている」
そんな思いを抱えているなら。
それは、
あなたが怠けているからではありません。
身体と脳、そして生活を
どう設計し直すか
そこに、改善の現実的なヒントがあります。

