リハビリは頑張っているのに、生活が楽にならない理由
脳卒中後、片麻痺がある中でリハビリを続けているのに、
「動けるようにはなったけど、生活は楽になっていない」
そんな感覚を抱えていませんか。
・歩けるけれど、すぐに疲れる
・着替えはできるが、時間がかかる
・手は動くのに、思ったように使えない
・家の中で転びそうで常に不安がある
これらは決して珍しい悩みではありません。
そして多くの場合、原因は「麻痺が強いから」だけではありません。
片麻痺の本当の困りごとは、日常生活の中にある
医療の現場では、筋力や関節可動域、麻痺の程度などが評価されます。
しかし、当事者が日々困っているのは、もっと生活に近い部分です。
・立ち上がると体がねじれる
・歩くと麻痺側に流れる
・座ると無意識に健側に体重をかけてしまう
・家事や身支度で肩や首がすぐに疲れる
これらはすべて、
「姿勢」と「動作の使い方」が今の身体の状態に合っていないサインです。
姿勢が変わると、日常生活動作は大きく変わる
人の動作は必ず、
姿勢 → 重心移動 → 動作
という順番で起こります。
姿勢の連続が動作です。
片麻痺があると、
・麻痺側に体重を乗せる感覚が弱い
・体幹が安定しにくい
・健側だけで動作を完結させようとする
その結果、
姿勢が崩れたまま動作だけを繰り返す状態になりやすくなります。
一見「できている動作」でも、
この状態が続くと疲労・痛み・転倒リスクが高まりやすくなります。
エビデンスが示す「姿勢・体幹・動作」の関係性
研究では、体幹機能や姿勢制御能力が、
歩行能力や日常生活動作(ADL)と強く関連することが示されています。
・体幹機能が高いほど歩行の安定性が向上
・座位・立位バランスの改善がADL自立度の向上に寄与
・麻痺側への適切な荷重練習が左右差を軽減
つまり、
筋力だけを鍛えるよりも、
姿勢と動作の再学習が生活の質を左右するということです。
日常生活動作は「練習」ではなく「設計」で変わる
改善が進む方には、共通する視点があります。
・動作を感覚だけでなく構造として理解している
・なぜやりにくいのかを言葉で説明できる
・生活動作そのものをリハビリとして捉えている
一方、停滞しやすいケースでは、
・回数や努力量だけを増やしている
・「麻痺だから仕方ない」と原因を固定している
・家での動作とリハビリがつながっていない
改善の分かれ目は、
「頑張るかどうか」ではなく、
動作をどう捉えているかにあります。
改善の過程は一直線ではない
片麻痺の回復や動作改善は、
一直線に良くなるものではありません。
・良くなったと思ったら戻ったように感じる
・新しい動作を覚えると一時的に不安定になる
・疲労が出ると動きが崩れる
これは後退ではなく、
身体が新しい動作パターンを再構築している途中で起こる現象です。
第三者の視点で見ると、
「停滞」ではなく「調整と再学習の段階」に入っていることが多くあります。
「できない」のではなく「合っていない」だけかもしれない
今一度、次の点を見直してみてください。
・今の姿勢は、今の身体に合っているか
・動作の順番は、無理のない流れになっているか
・椅子や床、生活動線は動作を助けているか
片麻痺のある生活では、
身体・動作・環境をセットで考える視点が欠かせません。
まとめ|生活が変わる人が見直しているポイント
・片麻痺の困りごとは生活動作の中にある
・姿勢と動作のズレが疲労や不安定さを生む
・改善の鍵は筋力より動作の設計
・回復は波を描きながら進む
・合わないやり方を、合う形に調整することで変化が生まれる
最後に
「もうこれ以上は良くならない」
そう感じている方ほど、
見直すべきは努力量ではなく“視点”かもしれません。
日常生活は、
最も頻度が高く、最も影響力の大きいリハビリです。
その一つひとつを、
身体にとって意味のある動きに変えていくことが、
これからの生活の質を静かに、しかし確実に変えていきます。

